Mitt lilla kök

北の果て,極少の台所から

パンは生き物

北欧の建物は冬を基準に作られている。つまり寒さ対策に力を入れている。屋内はセントラルヒーティングで日本の様に各部屋毎に暖めるのではなく、建物全体がほんわかと暖かい。窓も2重、3重構造で暖かさを貯めて逃さない。

これは非常にパンを焼くのには良い環境だ。上手く利用してパンを焼く。冬でも発酵の温度を気にしなくて良いのだ。ずっと一定の温度を室内は保っている。晩にちょっぴりのイーストで生地を仕込めば翌朝には発酵している。

 

1度酵母のパンを真面目に焼きたかった。結婚当初、アパート住まいだったが冬でも温度管理が楽なので挑戦したことがある。結果についてあまり記憶がない。多分ただ普通に出来ただけだったのかもしれない。それから随分と遠ざかっていた。

酵母ではない、普通のイーストを使ったパンは一週間に何回かは焼いている。朝食はほとんど毎日オープンサンドを食べているので、主食の白米を炊くというのと変わらない。

酵母パン、ちょっと敷居が高いと思っていたのはなぜだろう。作る途中で発酵が上手くいかず腐ってしまったら嫌だなとかマイナス面ばかり考えて躊躇していた気がする。もし失敗しても、ちょっとの粉と水だけが駄目になるだけだし、それもコンポストに混ぜてしまえば無駄にはなるまい。せっかくだし、パンのヴァリエーションも増やしたいので、気温も暖かくなって来たことにも背中を押してもらってまたやってみることにした。

 

用意するのは蓋付きのガラス保存瓶。以前小さい瓶で作ったら発酵して溢れた記憶があったので、ちょっと大きめを用意した。粉、人肌程度の水とも1dlずつ。これらを瓶に入れてよくかき交ぜておしまい。もしあればリンゴを擦ったものを少し入れてもいい。発酵を助けるので。瓶の蓋を半開きにする人もいるが、私は雑菌が入ったら嫌なのでキッチンペーパーを被せ、輪ゴムで止めた。紙で蓋をしても酵母は呼吸出来るので。

これを窓際の暖房の上の棚の上に置いておくと、ぶくぶく発酵が始まってくる。2日目、3日目と日に1度ただ綺麗にかき混ぜる。

4日目、粉、水とも1dl を加えよくかきまぜる。この時ちょっと酵母が緩いかなと思ってもちゃんと機能してまたぶくぶく始まってくる。ようやく5日目。酵母完成。パンを焼くのに使用出来る。

 

しかし、これはイーストの役割を果たしてくれるとはいえ、イーストと同じやり方では使えない。

出来た酵母をボウルに1dl とり、そこに粉、人肌の水1dl ずつを加えて良く混ぜる。また台所に放置して8 時間待つ。これは寝る前にしておけば良い。朝からまた始められる。相変わらず酵母はぶくぶく言い始める。生きている証拠だ。さらに粉と人肌の水を先と同量加えてよく混ぜる。5時間放置。ここでもう13時間が経過している。

 

これでようやく下準備が完成。これをパン捏ね機のボウルに入れて、粉13dl 、水5dl、塩少々入れて5分捏ねる。捏ね終わったら1時間布巾をかけて休ませる。休んだ生地をまた少し捏ねて約1時間さらに休ませる。

 

ここでオーブンに火を入れる。250度に予熱しておく。

休ませた生地、2つに分けてパンらしい形に丸めてオーブン皿の上に置き布巾をかけてまた40分休ませる。そしてようやくオーブンの中にパンを投入。10分焼いて、その後220度に温度を下げて30分焼く。


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長い道のりだった。ここでようやく出来上がり。どっしりと重い。全肯定、5日プラス約17時間。本当に長い道のりだった。

 

そして朝ご飯に食べてみた。ブルーチーズがあったので、それをのせてジャムを塗って。


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イースト菌のパンと比べて発酵時間が非常に長いために、パンのなかに気泡が出来る。外はパリっと、中はもっちり。腹持ちもきっと良いだろう。

 

しばらく酵母さんとの距離を縮めるべく酵母パンを焼いて行くと思うが、時間配分を上手くしていこう。