Mitt lilla kök

北の果て,極少の台所から

春の日に思う

外は雨だ。せっかく咲いた桜が散ってしまうのではないかと心配だが、案外気温が下がるので花を保っている。



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5月1日に知人の訃報があった。昨年末コロナ感染による血栓で心筋梗塞を発症、その後下半身不随で療養されていたが亡くなってしまった。日本の感染者増加、医療崩壊のニュースの中での出来事でどうにもこうにも気分が落ち込んでいる。多分身体も疲れているのかもしれない。

 

思い切って映画でも見てみようと、配信を探したら 『The Queen 』 (2006,英国)を見つけた。題名からエリザベス女王の話だろうと思い、予告編を見たらダイアナ妃が交通事故で亡くなった時の王室とブレア首相などの関係一連を巡るものだった。

先日フィリップ殿下が亡くなったり、ハリー王子の王室離脱やらで興味があったので見ることにした。

1997年の8月の終わり、私はスウェーデンにいてダイアナ妃がパリで大きな交通事故にあったというニュースをテレビで見た。ヨーロッパ内でニュースを見たり聞いたりすると、時差がない分生々しい感じがした。その後亡くなって、国民が花を宮殿に手向ける映像も心に残った。そしてその裏では、こういう人間模様や裏があったのかと思ったのが映画の感想だ。うまくネタバレせず解説する自信はないので、いつもの如く内容には触れない。

当たり前の事なのだが、俳優さん達の役作りの上手い事には感心する。エリザベス女王もフィリップ殿下もブレア首相も、まだ健在で実在する人物を演じるのは難しいだろうと思うのだ。似せ過ぎてもただのそっくりさんになってしまうし、俳優の個性を生かせば実在する人物の良さがなくなってしまうし。しかし最初はちょっと違和感があったのだが、映画が進むにつれ 本当のエリザベス女王だったし、ブレア首相だった。まさかバッキンガム宮殿やその他本物の宮殿をロケ地に借りはしていないだろうが、宮殿の中ではこの様に生活されているのだろうかと思うのは楽しかった。

女王が「お茶にしましょう」と部屋の隅にあるワゴンに行くと、紅茶ポットやら幾種類かのケーキが置いてあり、目が釘付けになってしまった。紅茶をしっかりポットで淹れるとは優雅だ、と改めて思ったり。

 

ここからは私の個人的邪推だが、メーガンさんはきっと現代のダイアナ妃になるつもりではなかったのか。あのインタビューも見たけれどそう感じた。王室の掟破りをする事で新しい風を入れてやろうと思っていたのかもしれない。ダイアナ妃も王室の古い風習に反抗していたところがあったと思う。しかし彼女の夫はチャールズで、ずっとカミラ夫人と不倫をしていた背景がある。愛されていないのに耐えながら王室にいた彼女。一方メーガンは理解ある旦那ハリーが一緒に王室離脱までしてアメリカに渡ってくれるような環境だ。そんな恵まれた環境では可哀想だったダイアナ妃の様なカリスマ性は到底持てないと思う。そしてハリーは次男坊で、長男ウィリアム王子は新しいことと古いことを上手く調和させてしっかり家庭を仕切る妻キャサリン妃と可愛い子ども達に囲まれている。英国国民も不満はないだろう。

メーガンがいくら可哀そうな私を演じてもなかなか難しいのでは、と野次馬根性丸出しで思っている。ディズニーのプリンセスとガチガチの風習や因習に固められた本物の王室とは残念ながら異なる。産まれて来る赤ちゃんの性別をインタビューで明らかにした時に、あ~あと溜息が出た。

 

映画の話から随分脱線してしまった。

ロンドンオリンピックの開会式でジェームス・ボンドと共演したエリザベス女王、世界中の皆に英国を好きになってもらえるように、非常に大きなコマーシャル活動をされたのだなと、映画を観て納得した。あのフィルムと演出は本当に粋でカッコよかった!

 

またロンドンに行きたくなった。


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どこぞの誰かはオリンピックの仮装でこの格好だったなぁと情けなく思い出す。こんな状況でもまだ中止出来ない不思議なものだ。