Mitt lilla kök

北の果て,極少の台所から

自然の中で先人の知恵と共に暮らす 北欧人はどの様に野菜をとるのか

北欧に暮らして思うことは、ここでは自然の中で生かされているということだ。

春夏秋冬、旬の食材がそれぞれ違う。特に秋から冬にかけては日照時間が恐ろしく短くなり、光合成を必要とするような青い野菜は数種類しか育たない。果物も同様だ。

しかし人間の身体の仕組みは万国共通。北欧人とアジア人見かけは異なるが、仕組みは変わらない。同じようにビタミンは必要だし、炭水化物、その他も同様だ。

こちらで暮らし始めて一番困ったのは、青い野菜をほとんど冬場見ないことだった。遊びに来た両親も特に母が、レタスがない、小松菜がない、ほうれん草は?と大騒ぎだった。

夏にたくさん青物を食べて、冬はその栄養でここの人達は凌いでいるのかと思うくらい。

北欧の野菜とは、①根菜類、②キャベツ類、③豆類、④ネギ類、⑤サラダ類、⑥茎野菜、⑦花野菜、⑧実野菜、⑨芽野菜に分けられる。①の根菜類は歴史がある。
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日本人が弥生時代から米を食べていたのと同様に、昔々から主食になって来た。ルーバ(ラテン語では ブラシッカ ラパというらしい)は石器時代から食べられている種類のものもある。キャベツ類はバイキングの時代かららしい。

反対にいわゆるサラダ類の青いもの、レタスなどは最近になってから食べられるようになったもので、ここ10年くらいで色々な野菜が入って来たような気がする。かつて野菜サラダと言えば、トマトときゅうりが主だった。いまだに高齢者、中年もトマトとキュウリで生野菜の栄養がとれると信じている人は多い。ズッキーニは以前から見かけるが、昔の名前はスクオッシュだ。最近一般的なズッキーニという名前が広がって来たと思う。

本当に90年代はトマト、きゅうり、人参くらいが私達が思う野菜として食べられていた。

ではどうやって冬場も栄養を摂るのだろうか。ここが根菜類とキャベツ類の出番だ。根菜とキャベツは寒い時も栽培出来るし、保存もきく。何kgか安い時に買って来て、新聞紙にくるんで籠に入れて地下室に置いておけば、ちょっと萎れたかなと思っても皮を剥けば十分調理出来る。根菜類は人参、白人参、スウェーデンカブ、赤ビーツ、根セロリが主なラインナップ。私は大体豚の骨付きスペアリブの塊と一緒に根菜類を煮込む。甘みと肉のホロホロ感と優しい味がする。我が家ではヴァイキングのシチューと呼んでいる。ヴァイキングもきっと食べていたはずだ。


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そしてこの根菜類はビタミンA, Cと繊維質が豊富で、赤ビーツには抗酸化作用がある。ここから冬場もビタミンはとれる。

キャベツ類も繊維質とビタミンCが豊富で、心臓病や血管の病気を防ぐとされている。キャベツ、紫キャベツ、ちりめんキャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーなど。これらも冬の寒い間も収穫されるし、店頭にたくさん新しいものが並ぶ。特にケールも冬の間、貴重な緑として食べられる。

キャベツ、紫キャベツ、ケールはクリスマス料理の中でも重要だ。肉類をたくさん食べる時に付け合せとして欠かせない。しかし残念ながら、クリスマスだけ食べる人も多いらしい。まるまる一個の固いキャベツを包丁で切って、千切りにすることが大儀になっている様だ。カットされた袋入りのものも売っている。

私が思うのは、自然というのは上手く出来ているものだということ。日本の様に青い野菜が冬の間なくても、青くなくても十分栄養がとれる野菜が存在し、肉食が多いなと思って魚や鶏など変化はつけるが、肉をたくさん食べたとしても繊維質が野菜からたくさん採れたり。バランス良く食べれば、青い野菜がなくても心配のないように出来ているものだと思う。

歴史好きには、ヴァイキング達が食べていたかもしれないメニューや同じ材料の食事を現代においてとれることは非常に楽しいことである。