Mitt lilla kök

北の果て,極少の台所から

後ろを振り返ってもいいじゃない

前ばかりを見ることができる人は

しあわせだなぁと思う。

新しいものがあるとすぐに飛びつけて

何の疑いもなく、生活の中にそれを溶け込ませる才能。素晴らしい。

私に欠けているものはまさしくそれだ。

 

新しいものにはまず警戒する。本当に大丈夫のなのか、良いものなのか、必要なのか。そう考えているうちに、次の新商品が発売されてそれはもはや新しいものではなくなってしまう、という事も多々ある。

 

きっと私は変コツなのだろう。昔、小説やドラマには頑固なへそ曲がりなお年寄りという人が必ず描かれていたが、まさしくその予備軍だ。

 

これから先のものより、今までがどうあったかを知る方が楽しい。どういう過程で今に至るのか、なぜそれが出来なければならなかったのか、それらの理由を解き明かすことに非常に興味がある。

 

例えば私は陶磁器が好きだが、それらは年代に応じて質感、模様、使い方などが変わって来ている。同じ国で作られているものなのにだ。

 

これにはいろいろ理由があって、時代時代の家族や身分のシステムが関わる、つまり社会背景も少なからず影響している、ということがわかって、なるほどなと納得することが楽しい。それぞれの模様を見ているのも好きだ。花柄の花模様も窯元によって様々だし、国によっても特徴がある。料理の種類に合わせて使ってみたくなる。

そしてますます買い集める、次にそれらの置き場がなくなるという悪循環に陥るのであるが。

古い食器をわざわざ買って使うなんて、と思われることも多いかもしれない。しかし当時の様子を写真で見たりしながら、こういう人達が使っていたのだ、と生活について思いを馳せることにもワクワクするのだ。

結局新しいものを試す暇がなくなって、どんどん時代に取り残されていく。

こうなったら昔を知る人は残っていくべきだと開き直って気むずかしいお年寄り予備軍として生きていくしかないのかもしれない。


f:id:kaalrabbi:20210329083049j:image

スウェーデンのGustavsberg 社、"Alva ". 1909-1939.